パーソンセンタードケアを目指して
2013.4.5
パーソンセンタードケアとは、疾病あるいは症状を対象にしたアプローチではなく、生活する個人を対象にしたケアである。サービスを提供する側の選択で行うケアではなく利用者を中心として選択するケアである。この概念はイギリスの心理学者Tom Kitwoodによって提唱されたものである。一般的には、外見上の差異、性格あるいは生活史の違いといった比較的把握しやすいものに満足しがちであるが、実はその人が持っている個を特徴づけている精神性が個別性の根源にある。個人が生きていく過程で、表現したり受けとっていく精神の独自性こそがパーソンフッド(個人性、その人らしさ)であろうと思われる。その人らしさを中心におくケアこそが、人の尊厳を支えるケアにほかならない。(認知症ケアの理念より抜粋)
ではその人らしさとは一体どのような事なのでしょうか?私達ケアの担い手がご本人様のADLやIADLを観察・評価しそれなりの判断をする事は容易ですが、それだけでは肝心な個別性が欠けてしまいます。パーソンセンタードケアを実施して行く為には、入居者様一人一人とのコミュニケーションが重要です。ただしそれを一人の職員が担う事は非常に困難であり、また個人の見解によって差が生じます。そこで、チームアプローチを行い互いにサポートする事で、多方面からの視点が加わり情報共有という形で共通理解を深め、入居者様の深部理解に繋がり個人レベルのケアを提供できると考えられます。
当施設にも認知症の方が居住されていますが、他の入居者様との共存ではなく共生できる環境となれるようこれからも努力して行きたいと思います。
看護師 鈴木 佳奈枝