絵を観る楽しみをどうぞ

2011.8.5

どこの園でも階段の踊り場などに飾る大きな額縁入りの絵。私の園では、画をこよなく愛し、皆から”マツシマ画伯”と呼ばれた入居男性の作品を数点、掛けています。もっと数があれば、そしてもう少し評価があれば、しっかり自慢できるんですけどねぇ。ともあれ、そこに絵画があることで、見る人をほっこりとした気分にさせてくれているようです。

私は自分で絵を描くわけではないのですが、トシを重ねるほどになんとなく「いいもんだなぁ。」と、絵を見る機会が増えてきました。これがそもそもトシのせいなんでしょうが。これからも好き勝手に絵を眺める時間を持ちたいなと思っています。皆さんもどうですか。  そんなことで私の好きな美術館を紹介させて下さい。まずは、上富良野町の『後藤純男(ゴトウスミオ)美術館』、2つ目は、札幌市南区にある『関口雄揮(セキグチユウキ)記念美術館』。どちらも日本画の個人館ですが、この二人には共通するところがあって興味を引かれます。

ともに関東で生れ(関口氏が6歳上)育ち、画壇で名を成して後に、北海道を旅するようになり、北の凍てつく大地にすっかり魅せられ、のめりこみ、マイナス十数度の吹きっさらしの中を何時間もスケッチし続けていたといいます。そして、北海道の自然を描くことをライフワークとし、とうとう自分の美術館を北海道に建ててしまったのですね。一人は雪景色を切取り、部分を草の葉1枚まで細密に描き、一人は氷雪の連山を天然岩絵具で長大な画幅に写し取る。いずれの絵からも冷気が這い出してくる心地がする、くらいに素晴らしい。どちらかといえば私は後藤氏の大迫力が好みですが、ぜひ見比べてほしいものです。

「美術館はどうも苦手…」と言う方もおられるかと思いますが、まずは一度立ち寄ってみて下さい。「こんな景色、見たことあるなぁ…」とか、「そうだよ、この冷たさだよ」とか、北海道に住む方ならいろんな発見ができると思います。ぜひぜーひおいで下さい、と、まるで宣伝マンみたいですが。(入館料はどちらも1,000円。まあまぁ手頃でしょ?)


施設長 西井 保之

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