ぎりぎりまで
2013.2.26
昨年も年1回はどうにか登れている羊蹄山に登って下りて来る事が出来ました。山小屋には二人の管理人さんがおり一週間交代で山の安全を守り、その1人に顎にひげを蓄えた仙人の様相の名物管理人さんがロクと言う名の犬を飼っています。
六代目になる事からロク、毎回管理人さんと共に見回りなどの仕事をしており、知っている人であれば一匹で頂上まで道案内する事や、ウサギやリスを追いかけて遊んだり本州からの登山者は霧の時などで迷う方もあり、はえ松の中で動けなくなっている登山者をロクが発見救助した事など、そのたくましさを窺い知る話をたくさん聞きました。
毎年リックにロクのおやつを入れ会える事を楽しみに登っていましたが、ある年ロクはもう17歳になるんだ後何年登れるかな〜と管理人さんが言っていた翌年にロクが亡くなった話をもう一方に聞きました。翌年に亡くなった時の事を聞け、山開きの後にいつものように遊びに出たロクがなかなか戻って来ないので探しに行ったが見つからず、足腰も弱って来ていたので沢の雪にでも足を取られ動けなくなったのかな〜と寂しげに話していました。その話を聞いていると、ふと「千の風になって」の歌を思い出しロクは死んでなんかしない!風になって自分の庭である花畑でウサギやリスを追い、楽しそうにかけ駆け回っている姿を思い描いていました。
“病院にお世話になるのはぎりぎりでいい”と普段から入居者と話していますが、その通りに過ごしたなと思える方が何人も居りその笑顔が思い浮かびます。ぎりぎりまで生活してもらうにはどうしたら良いか、自分もそう出来るのかなと思うこの頃です。
施設長 戸羽 泰徳