いかに老いを生きるか

2014.3.12

3月も、中旬近くとなりますと、例年、なにか心がうきうきとして、春の訪れが、とても待ちどうしい気持ちになります。
実は、これはつい3年前までの、ことであります。
この原稿を書いております、今日は、たまたまなのですが、3月11日であります。
ご承知の通り、丁度、3年前のこの日、未曾有の大災害であります、東日本大震災が発生いたしました。
それ以来、この時期の、日々増してまいります、日差しの優しさとは裏腹に、とても、心がうきうきするような気持ちとは、ほど遠い、思いにおちいります。
犠牲となられた、その多くに、高齢者の方々が含まれていた、そんな現実が、日を追うごとに、伝えられました。
あの日々を、今も、とても忘れることができません。
超高齢化社会の状況のなかで、「いかに老いを生きるか」、このことは、高齢者の方々を、お世話する仕事に携わる、私どもの仕事上のテーマでは、ありません。
正に、決して誰もが避けることのできない、必ず訪れる自分自身の、テーマであるとの思いを、強くいたします。
災害時、思うように身体的な自由が利かず、無念のうちに、お亡くなりになったでありましょう、多くの高齢者の方々の思い。
その思いを、今も、共有させていただくことで、ささやかな慰霊とさせていただければ、と存じます。
さて、「いかに老いを生きるか」。
とても難しいテーマでありますが、震災でお亡くなりになられた、高齢者の方々の、そうした無念を、心から共有させていただくことを通じ、一筋の灯明の光を、頂くことができるのかも知れません。
この3月末日を持って、札幌市菊寿園施設長の職責から、退かせていただくこととなりました。
この後は、「晴耕雨読」と、体力が残されておりますうちに、大いに孫に遊んでもらえればと、好かれる爺さんを目指します。
どうか、皆様に置かれましては、健康に留意されて、益々、ご活躍されますことを、心から祈念申し上げます。


施設長 多田 正太郎

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