誰もがみな人生の主人公!

2019.7.13

「施設長だより」には、今回で3回目の投稿になります。毎回、硬い話になってしまうので、今回こそはとトライしてみました。…が、結局今回も硬い話になりそうです(笑)

「ケアハウス藤花」は自立型のケアハウスであり、入居者の皆さんを単に「施設利用者」ではなく、「地域住民」として生活支援をしていくことを考えてきました。入居者さんは確かに高齢者であり、その半数以上は要支援1〜要介護2の状態像となっています。だからと言って必ずしも「弱者」ではありません。それは施設を利用していようと、要介護状態にあろうと関係ないことだと考えています。施設の職員が入居者さんを社会的な弱者と捉えれば、職員は庇護を与えることになり、また入居者さんは庇護を受けることが当たり前になっていくのではないでしょうか。
社会福祉法や介護保険法では「自立支援」と「尊厳の保持」が原則として存在します。「施設」が自立や尊厳を阻害するようなことになっては本末転倒というものでしょう。

人は「足りない」部分や「衰えた」部分に注意が向きやすいと言われていますが、決してそれだけではありません。年をとることで、体力や健康など失うものも少なくありませんが、逆に思慮深さや社会経験など若い人には見られない長所も数多くみられます。 それらを踏まえて、「ケアハウス藤花」では「入居者の力を引き出す支援」を大きな柱として、さまざまなことに取り組んできました。

例えば、クッキングや行事の準備、後片付け、ガーデニング、小学生への施設案内など、情報を提供することで、自分たちの役割を見出し、自発的な活動につなげることができています。また、麻雀や卓球のニーズを持つ方がいる事を伝えると、自主的に回覧板を回し、同好会的な形へと入居者さんが主体となり発展させています。デイサービスへのボランティア参加や町内会活動として公園や河川清掃など、施設内の活動におさまらないライフスタイルが徐々に広がってきています。 一方で、入居者さんに向けて避難訓練や認知症、感染症、リビングウィル、介護保険制度など高齢者の生活にまつわる様々なことをテーマに勉強会を実施しています。勉強会を機に災害に対しての危機意識や認知症の人が困っていることに対して、お互いに助け合うなど「仲間」として、人のつながりが深まっています。

複数の人が集まると自然発生的にそこにはルールが必要となってきます。例えば、ケアハウス藤花では、毎日の入浴や21時までの入浴が可能です。一辺に全員が入浴できるわけではありませんから、そこには「順番」が発生します。そのための工夫や入居者さんの理解が必要になってくるわけですが、そこに職員はほとんど介入しません。お互いに譲り合い、確認しながらお風呂の順番を決めています。

ケアハウスでの私たちの役割は、生活の情報を提供すること、それを基に自分らしいライフスタイルを支援すること、入居者さんたちが持っている「力」を引き出すこと、困ったときのSOSに対応することなどにあると考えて取り組んでいます。

さだまさしが「主人公」という曲の中で歌っています「自分の人生の中では、誰もがみな主人公」だと…ホント、誰のものでもない、自分が主役の人生ですからね(^^)。


施設長 保坂 昌知