大切な時間
昨年は新型コロナウィルスで始まり、いまだ収束には至っていない現状です。
現在、当施設は70歳代から99歳までの100名・併設の生活支援ハウスには20名の方が生活されており、要介護1~4までの32名。要支援は11名。特定サービスのご利用者は21名です。
認知症の方も20数名。居室での生活、過ごし方も判らない方が連日のTV報道を観て「私は長生きしたからコロナになって死んでもいいわ」とおっしゃられてショックでした。
正しい情報、予防策をどうしたら理解して頂けるのか日夜悩んでいます。「ご入居の皆さんに感染させてはいけない。自分も感染すれば、重症化する年齢だ!」との思いと格闘しながら毎日仕事をしています。クラスターが発生した病院・施設にて関わった職員の皆様の大変さは想像を絶するものと思われます。研修などでその状況を伺うにつけ、その思いは強まります。
昨年は、連日施設でのクラスター発生が報道され、消毒用アルコールの仕入れもままならず、休日に薬局を廻っている最中のある日、平成20年に退所され、その後逝去されたご入居者のご家族様から「施設は大丈夫ですか?あの時は、お世話になったのに何も出来なくて。お役立てください」とアルコールやフェイスシールド等を沢山寄贈くだされ、とても感謝しました。退所後12年たっても施設を忘れず心配してくださるご家族もいらっしゃることに、職員はどれだけ励まされたことでしょう。
毎日、感染病棟で働いている医療従事者の方々には頭が下がります。その方々にお返し出来る事は、「自分は罹らない」では無く「罹る可能性がある」と肝に銘じ、日々油断せず心を引き締め行動し、一日でも早く終息して医療従事者の方々が休める日が来る事を願っています。不当な差別で辛さ、悔しさ、悲しさで涙する日もあるように聞かれ、とても辛く心が痛みます。
コロナ禍の行動制限の時間を利用して断捨離身辺整理をしようと思うばかりで、一向に進まない自分に「喝」を入れ、ご入居者と共に『一つだけの命・限られた命の時間』を大切に過ごして行こうと思います。
自粛制限中個々のニーズの対応は難しく、レクリエーション・面会・外周地の制限もあってご入居者様のストレスは高まる中、施設として何が出来るのか考え、WEB面会の取り組み等を行い、ご本人ご家族様からも大変喜んで頂いています。
自分は何が出来るのか?その一歩として童話の読み聞かせを始めました。下手ですが終わりの拍手に照れながらも嬉しい自分がいます。
すっかり春めき、雪の下から雑草や花の芽が見え、厳しい冬をたくましく生きてきたのだと見入りました。今の時代、この様な小さな事にも心の安らぎの時間に芽吹いた命にありがとうと言えるのです。